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Yoga columnヨガコラム

2019.10.17

マントラと聖なる音

ナマステ!
 
 秋も深まるこの頃、皆さま秋の味覚をお楽しみのことと思います。
 
 今日は秋の夜長にも活用できる「マントラ」についてお話しいたしましょう。ヨガの授業の始まりや終わりに唱える聖音OM(オーン)もマントラの一つです。

 
マントラの定義
 マントラmantraはサンスクリット語でmanという「瞑想を行う」という動詞に派生し、それは「祈り、呪文、真言、祭文」を意味します。
 
ヨガぺディアでは以下のように定義されています。
A mantra is a sacred word, sound or phrase, usually in Sanskrit, which is believed to have a spiritual and psychological power. Meaning “tool of thought” in Sanskrit, a mantra is often used in meditation as a way to harness and focus the mind.
マントラは通常サンスクリット語を使った聖なる言葉、音、フレーズのことで、霊的または心理的パワーを備えていると信じられている。サンスクリット語で「敬虔な思考の道具」を意味するマントラは瞑想においては往々にして精神を制御、集中させる方法として使われます。(日訳補足)
 
Mantra yoga uses repetition and chanting of mantras to encourage the mind to enter into a meditative state, so that the practitioner may begin to connect with the Divine within themselves. It's said that in choosing to chant mantras you are changing your vibration and evoking a higher level of consciousness.
マントラヨガはマントラを復唱、詠むことで精神の瞑想状態を促す。その結果、練習者は内なる神と結びついていく(ヨガである)。マントラを詠もうとすることは、内なるバイブレーションを読み、より高い次元の意識を覚醒させることである。(日訳補足)
 
マントラの特徴
古代文明はインドに限らず言葉の持つ神秘的な力を信じてきました。日本の真言や中国仏山の石に刻まれた悉曇(しったん)文字も同じような考え方です。しかしインドのマントラは宇宙の五大元素に関わる、ヴェーダの発展にともない系統化された、インド人の生活習慣上非常に重視される厳しい師弟関係の中で培われる、などの特徴があります。
 
インドにはあらゆるもの、目に見える目に見えない、物質的精神的に関わらず、は五大元素(空、風、火、水、地)から成り立つという考え方があります。この五大元素理論はパンチャマハブータPanchamahābhūta と言い、空ākāśaに動性が加わり風vāyuになり、それに激性(熱)が加わり火tejasが生じ、それに重性が加わり水apになり、それに暗性が加わり地pṛthivīになります。そして各存在は一つだけの元素からできるのではなく、常に五つの元素が違う割合で混ざり合ってできています。
リグヴェーダにはリシṚṣiと呼ばれる賢人(通常厳しいヨーガの修行を積んだ苦行者で超能力を持つ)がマントラを唱えると火が起こると書かれています。そこで生じた火は全てを燃やし、我々を錬金するように美しく、強いものに変えてくれるのです。その錬金された人だけが、ヒランヤガルHiraṇyagarbhaのに入っていくことができます。ヒランヤガルバはサンスクリット語で金の卵と訳され、全ての創造主であるブランマー神 Brahmāも生じてきたところの智慧の聖域であり、全てが始まりそして終わるところです。そしてパタンジャリヨーガスートラ(コラム第一回、第二回参照)第三部第54節によると、この金の卵に入った者だけがで言うところのtarakam jnanam(輝き澄み切った秘密の智慧, tarakam-sarva-vishayam)に接することができます。この智慧のうち、クシャーナkṣaṇa(日本語の刹那)に入り、時間と空間を超えることにより我々を此岸a-paraから彼岸paraへと導く手助けをしてくれるのがマントラなのです。マントラの祈りは何かを気軽にお願いするというよりは、我々が持つ低い次元の意識がマントラにより高い次元の霊的能力(神のような存在)とつながることで我々が存在の難しさゆえに抱える障害を克服し、特定の目的を達成するという自己実現のプロセスです。
 
マントラの効果と種類
マントラは特定の肉体的または心理的な目的のために特別に構成された言葉、または音節、または音です。マントラはそれぞれ精神状態に特定の効果を与えるバイブレーションを生じます。我々は生れながらに行、サンカーラsamskaraが精神的に刷り込んだ本質を抱えています。サンカーラが定める心の能力で自分自身とそれに関わる全ての形ができあがります。マントラは霊的能力と結びついた特定の意識で形作られており、その意識の塊は我々の本質をHiraṇyagarbha金の卵の中で良質に変換させる力があります。その変換異なるマントラと異なる個人に応じ、様々な次元−肉体、エネルギー、精神、霊感、現実−で効力を発揮します。しかし繰り返しになりますが、リグヴェーダ始めインドの聖典によれば、それなりの努力や条件を持ったものだけが金の卵に入ることができるのです。
 
マントラは大きく分けて二種類あります。一つはディークシャーマントラdīkṣā mantraもう一つはヴェーダマントラvédas mantraです。前者はグル(gurúgu ‘darkness’; rú ‘to protect’が直弟子に授けるマントラで、弟子に最も適切なマントラを伝授してくれる。このマントラは強い師弟関係の上に築かれ、口外するとその効力が失われる。後者は伝統的な聖典に載ったマントラです。
 
マントラプラクティスの方法
基本は同じマントラを何度も繰り返し唱えることです。そして自分がマントラを唱えるのではなく、マントラ自身が自らリピートを繰り返すようになるまで行います。
 
唱える回数としてよく言われるのは108回ですが、それを上手く割った数字54回、27回、9回、6回、3回なども用いられます。108の理由付けは様々な説がありますが、サンスクリット文字を全部で54個と数え、最初aから最後mまでの往復108回は智慧のすべて、宇宙の全てを代表するとか、サンスカーラが刷り込む煩悩の数(六根×好・悪・平の三種+六塵×好・悪・平の三種)×三世(過去・現在・未来)=(6×3+6×3)×3=108とか、108は神聖な数字9の倍数とか言われます。
そして回数わからなくなることを避けるためにはマーラーを使うといいでしょう(マーラーは通常108の球でできています)。
実はインド古典の聖典やパタンジャリのヨーガスートラではマントラ毎に推奨される回数があり、それぞれ何十万回、何百、何千万回に及びます。大変な集中力が必要ですね。
【注】
*六根:<眼・耳・鼻・舌・身・意>
感覚や意識を生じ、またそれによって迷いを起こさせる原因となる六つの器官。
*六塵:<色・声・香・味・触・法>
人身に入って本来清らかな心をけがす。
*好・悪・平:<良い・悪い・どちらでもない>
唱え方は第一に声に出して唱えるやり方ヴァイカリー、第二につぶやくようにして唱えるウバーンシュ、第三に心の中で唱えるマーナシカの三種類あり、そのいずれかで行います。また顕現力を最大限に高めるためには、同じ時間に定期的、できれば毎日唱えることがお勧めです。

聖なる音、OM
こちらのイラストを目にした方も多いのではないでしょうか。


今日最後は頻繁に使われるマントラの中で、このイラストが示すところのOM(オーン)をご紹介いたします。音の表記はAUM(アオム)です。BKSアイアンガー師の名著Light on Yoga(日本語訳『ハタヨガの真髄』)序章‘ヨガとは何か?’の説明の一部を抜粋します。
  • 「ア」は心や精神が目覚めているあるいは意識のある状態(ジャーグラタ・アヴァスターjagrata- avasthā)、「オ」は夢の状態(スヴァプナ・アヴァスターsvapna- avasthā)、「ム」は夢のない眠りの状態(スシュプティ・アヴァスターsusupta- avasthā)を象徴している。「アオム」全体はその三つの状態を統合し超越した状態(トゥリーヤ・アヴァスターturiya- avasthā)をあらわしている。これはサマーディ(コラム第三回参照)の状態である。
  • アオムの書く文字は、それぞれ言葉(ヴァクvak)、心(マナスmanas)、生命の呼吸(プラーナprana)をあらわし、全体では神の精神の一部である生きている精神を意味している。
  • アオムの3文字はまた、それぞれ長さ、広さ、深さをあらわしている。そして、全体では形という限界を越えた神を意味している。
  • アオムの3文字は、欲望のないこと、恐れのないこと、怒りのないことを表しており、全体では完全なる人(スティタ・プラジュニャーa sthita-prajna)をあらわす。それは神に基づいた本当の知恵を確立した人のことである。
  • アオムの3文字はそれぞれの3つの性、すなわち男性、女性、中性を示し、全体では神と神によって創られたすべての被造物をあらわしている。
  • アオムの3文字のそれぞれは3つのグナ(性質)、すなわちサットヴァsattva、ラジャスrajas、タマスtamasをあらわし、全体ではそれらのグナを超越していて、それらに影響されない人、すなわちグナーティータgunatitaをあらわしている。
  • アオムの3文字のそれぞれは過去、現在、未来を表し、全体では時という限界を超越した創造主をあらわしている。
  • アオムの3文字はまたそれぞれ、母親からの教え、父親からの教え、グルからの教えを表しており、全体ではブラフマ・ヴィディヤーBrahma Vidya(至高の精神についての知識)、すなわち滅ぶことのない教えのことをあらわしている。
  • アオムの3文字はそれぞれ、ヨガ修行の3つの段階、アーサナ、プラーナーヤーマ、プラティヤーハーラを表しており、全体ではその3つの段階の訓練を通って到達する最終目的のサマーディをあらわしている。
  • アオムの3文字はまた、3人の神をあらわしている。すなわち、宇宙の創り主であるブラフマー、宇宙を維持するヴィシュヌ、宇宙を破壊するシヴァの三神をあらわしている。全体では、宇宙が生じ、成長し、結実し、また戻る源であるブラフマンをあらわしている。それは成長も変化もしない。多くのものが変化し消えていっても、ブラフマン自体は変化しない永遠のものである。
  • アオムの3文字はまた、「タット・トヴァム・アシ」(お前は、そのようである)というマントラをあらわしている。これは自らの内なる神聖を悟るということである。アオム全体では、この内なる神聖を悟り、身体、心、知性、自我の束縛から人の精神を解き放つことを意味する。
  • ヨギは、このアオム重要性を悟った後は、神の名にアオムを加えながら、自分の注意をこの神性に集中するのである。アオムという語の意味は、あまりにも広く、大きく、抽象的であるが、求道者は一意専心して神の名に自分の意識を集中して、アオムという聖音を加えることによって、感覚、意識、知性、心、理性のすべてを統一し、このマントラの意味と感じを体験するのである。

 皆さま秋の夜長に是非一度時間をとって、アオムを繰り返しまずは声を出して、その後は心の中で唱えてみてください。音の中にあなた自身を見つめるうちに、きっとあなたの今とあなた自身を発見するでしょう。またそのヴァイブレーションはあなたを無空の世界へ導いてくれることでしょう。

 OMシャンティ
 

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