フランスの公共交通機関は、フランス国鉄(SNCF)がほぼ独占の形で全国の交通網を形作っています。
SNCF は、大都市間や外国までを結ぶ日本の新幹線に当たる高速列車 (TGV) や国内の主要都市を結ぶ長距離電車(TER)、都市(おもにパリの郊外地区)の近郊線(Transilien) などを運営しています。
パリの周辺地域を走る首都圏高速交通網 (RER)、郊外や市内を縦横に走るバス(Autobus)、路面電車(Tramway)、そして地下鉄(Métro) はRATP と呼ばれるパリ交通公団(RATP)によって運営されています。
パリには「中央駅」に当たるようなものはなく、6 つの国鉄のターミナル駅(Gare) から、それぞれ独自の行き先の列車が発着しています。
パリからフランス国内外への長距離電車を利用する時はこれらの駅を利用します。
【パリの主要な鉄道駅(Gare)と長距離線(Grandes lignes)の主な行先】
Gare du Nord(北駅) |
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ロンドン/ ブリュッセル/ アムステルダム/ ケルンなどの国際線および、リール、カレーなどのフランス北部の都市行き |
Gare de Lyon(リヨン駅) |
ジュネーヴ/ ローザンヌ/ ベルンなどの国際線および、リヨン、マルセイユ、ニースなどのフランス南部の都市行き |
Gare de l’Est(東駅) |
フランクフルト/ ルクセンブルグなどの国際線および、ランス、ストラスブール、メッスなどのフランス東部の都市行き |
Gare Montparnasse(モンパルナス駅) |
ノルマンディー、ブルターニュ、ロワール、ミディ- ピレネー地方など、フランスの北西から南西にかけての都市行き |
Gare Austerlitz( オーステルリッツ駅) |
マドリード、バルセロナ行きの夜行のほか、オルレアン、トゥール、トゥールーズなど、フランスの南西部の都市行きの列車が発着 |
Gare Saint-Lazard(サンラザール駅) |
ルーアン、カン、ルアーヴルなどのフランス・ノルマンディー地方行き列車および、パリの北部および西部郊外への近郊線が発着 |
SNCF、RATP ともに、インターネットの公式サイトからチケットを購入したり、時刻表などを調べることができます。SNCF のサイトは列車の予約のみならず、ホテルや飛行機、レンタカーの予約も同時にできる総合旅行サイトとなっています。
SNCF(国鉄)http://www.voyages-sncf.com
メトロ&バス(RATP)http://www.ratp.fr
メトロ、RER とバスの切符は共通です。切符は駅か街のタバコ屋(tabac) で購入することができ、パリ市内は均一料金です。郊外に出る場合は目的地がどのゾーンにあるかによって料金が変わります。乗り越し清算ができないので、乗車前に目的地までの切符を購入します。目的にあった切符を持っていない時に検札係のコントロールに遭遇した場合は、不正乗車とされ罰金となりますので注意が必要です。
切符は1 枚ずつの購入(billet)、10枚綴りの回数券(carnet)、一週間から一年までの定期券(Navigo)があります。定期券を購入する時はメトロの窓口にある申し込み用紙かインターネットを利用します。
回数券は一枚ずつ切符を購入するよりも割安な料金設定になっています。定期券には若者料金や長期割引があります。5歳以上の子供は子供料金の切符が必要です。バスも路面電車もメトロと同一の切符で乗車できます。料金は通常年に一度、夏ごろに改定されます。
メトロやバスを利用するには、まず路線図を入手します。インターネットのサイトからダウンロードする、駅の窓口でもらう、地図帳に付いている路線図のページを利用するなどの方法があります。スマートフォンがあればRATP のアプリケーションを無料でインストールすることができます。
電車の方向は最終駅(direction finale) によって示されています。ドアは自動ドアと手動ドアがあります。混雑時は出入り口付近の折りたたみ席は利用しないようにします。最終電車の時刻は曜日によって変わりますのでRATP のサイトまたは駅で確認します。メトロからRER への乗り換えをする時は、一度最初に使ったチケットをもう一度改札に通して通過します。
出典:在仏日本人会
Yさんの体験談
フランスに来て驚いたことの一つ。
それは、日本のように「乗り越し精算」ができないことです。
例えば、以下のケース。
・行き先を間違えて購入してしまった。
・途中で下車駅や路線を変更したい。
・ナビゴ(定期)を持っていても、使用可能ゾーンよりも先の行き先の場合。
など。
電車の切符を購入する際は、必ず始点と終点を確認してから買う必要があります。
日本の交通システムは、利用者のことを考えて構築されているのだなと改めて実感しました。