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columnアートコラム

2019.11.08

ルイ・ヴィトン財団『C.ペリアンの新しい世界展』


1928年に発表した長いす、椅子にねそべっているのはC・ペリアン   © F.L.C. / ADAGP, Paris 2019 © ADAGP, Paris 2019 © AChP

Le monde nouveau de Charlotte Perriand
Fondation Louis Vuitton - Du 2 octobre 2019 au 24 février 2020 -

インテリアデザイナーのパイオニア的存在で、20世紀をまるごと生き抜いたシャロット・ペリアン(1903-1999)の大回顧展である。ル・コルビュジエのアトリエで家具やインテリアに関わる創造に携わり、以降70年間以上にわたって建築、インテリアデザインを牽引続けた。
インテリアという言葉が人口に膾炙する前から、インテリアデザインに関わり、20世紀の暮らしのスタイルを創造したといっても過言ではない。しかも彼女の長いキャリアで日本との関わりが大きな意味を持った。
同展は没後20周年を記念して開かれ、2014年に開館した現代アートの牙城ヴィトン財団で全4000m² の展示スペースが、一人のクリエーターにあてられるのは初めてである。日本で何回か開かれたペリアン展とは比較にならないほど規模が大きい。

展覧会では彼女の足跡が4フロアーにまたがって年代順に紹介され、各ギャラリーごとテーマがまとめられている。
地下の最初のギャラリーでまず目に飛び込んでくるのは、ピカソ、レジェ、カルダーといった20世紀のビックネームの作品やコルビュジエの手がけたタピストリーだ。いずれも彼女と交流のあった芸術家で彼女のインテリア家具と交錯する形で展示されている。テーマは『モダニズムの構築、理想的な住まい、1927-1937』。インテリアだけを孤立して捉えるのでなく、幅広い住環境という枠組みで考えると同時にインテリアを美術の一ジャンルとして捉え、絵画や彫刻など他ジャンルの接点において見ていたことを明確に出した展示である。ペリアンはこの考え方を70年間一貫して守った。

次のスペースでは1927年にサン・シュルピス教会広場の自分の屋根裏部屋をトータルにデザインした『屋根裏バー』が再現されている。同年のサロン・ドートンヌで大反響をまきおこし、ル・コルビュジエ(愛称コルブ)から才能を認められる契機となった作品である。以降当時一世を風靡したジョセフィン・ベーカーの髪型にクロム銅のネックレスといったスタイルで、コルブと従弟のP .ジャンヌレが主宰するアトリエでインテリア部門の協働者として10年間働く。その間アールデコに反発しモダニズムの精神を揺るぎないものにしていく。


サン・シュルピス教会前の『屋根裏バー』再現  Crédits artistes : © Adagp, Paris, 2019  Crédit photo : © Fondation Louis Vuitton / Marc Domage

1935年『青年の家』再現  Crédits artistes : © F.L.C. / Adagp, Paris, 2019 ; © Adagp, Paris, 2019  Crédit photo : © Fondation Louis Vuitton / Marc Domage
1929年のサロンではメタルなどの斬新な素材を打ち出して大反響を巻起こした。1935年ブリュッセル万博に『青年の家』を出展し、鋼鉄やアルミニウム素材など斬新なデザイン設備の中に、素朴な木と藁でできた椅子をコーディネートした勉強室、その隣に設えたトレーニングジムにレジェの作品を壁に掛け、家具、絵画、建築、写真などの統合を図り、実験的な住環境を提示した。

次のギャラリーでは海岸などで見つけてきた石や木の破片や骨など自然の蒐集物を〈アール・ブリュット〉よろしくペリアンが写真に撮った作品や、木を素材とした家具、ル・コルビュジエやレジェの自然をテーマにした絵画も展示されている。いずれも30年代の作品で、アートのエコロジーの流れに先鞭をつけた。
一階では工芸指導のため1940年戦争前夜の日本を訪れ、精力的に日本各地を駆け回り、竹、藁、漆などの伝統的な素材で作られた日本の民芸をモダニズムの精神で捉え直した家具などを展示した『選択、伝統、創造』展の一部が再現されている。日本の若いクリエーターたちに新鮮な衝撃を与えた展覧会だ。
2年の日本滞在を終えて、帰国途中仏領インドシナで4年足止めされるが、戦後ル・コルビュジエのマルセイユの集合住宅やパリの大學都市などのインテリアを手がけた。特にJ.プリューヴェと共作で手がけた、チュニジア館のカラフルなパネルのついた壁の書棚が有名だ。
1954年から55年にかけて再度来日を果たし、東京の高島屋で開かれた『芸術の総合、ル・コルビュジエ、レジェ、ペリアン3人展』の一部が展示されている。


1955年 東京の『芸術の総合』展 再現 Crédit artiste : © Adagp, Paris, 2019 ; © F.L.C. / Adagp, Paris, 2019 Crédit photo : © Fondation Louis Vuitton / Marc Domage

60年代には、夫の仕事の関係でブラジルに住みリオのアパートのインテリアも手がけているが、1967年から両親の故郷であるサヴォアの山岳地のリゾート建設に力を発揮する。中でもアルク1600、1800で保養施設の室内設計、内装などを15年間手がけた。残念なのはメリベルに山の景観を見事にとりいれた自分の山荘を手がけたが、それがどういう訳か展示されていない。

最後に1993年90歳になってユネスコで開かれた茶会の為に竹と帆布の組み合わせで作った茶室が再現されている。その他に忘れてはならないのは、実際に建造されることのなかった『水辺の家』だ。日本やアルカションの漁師の家からインスパイアされて1934年に設計したプレハブ式のヴァカンス用の家が、財団の人口滝があるスペースに初めて建造された。


『水辺の家』Crédit artiste : © Adagp, Paris, 2019 Crédit photo : © Fondation Louis Vuitton / Marc Domage

とにかく、Cペリアンの思考のスケールの大きさに対応して多彩に構成され、鬼才フランク・ゲーリーの手がけた財団の建築と共鳴しているところもあり、デザインに苦手な人でも十分に入り込める展覧会である。

Fondation Louis Vuitton, « Le Monde nouveau de Charlotte Perriand » jusqu’au 24 fév.2020
公式サイトはコチラ
 

執筆者


林 正和  パリガイド通訳サービス主宰

大阪生まれ。パリ在住あしかけ36年、東京外国語大学卒業、マスコミ関係の仕事を経て パリ第三(ヌーヴェル・ソルボンヌ)大学で博士号取得。
現在美術館および観光ガイド、通訳、コーディネートを幅広く手がける。
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