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columnアートコラム

2020.01.03

スーラージュ展

pierre_soulages_portrait
Pierre Soulages. Portrait de l’artiste, 2 octobres 2017. Collection Raphaël Gaillarde © Collection Raphaël Gaillarde, dist. RMNGrand Palais/Raphaël Gaillarde ©RMN-Grand Palais –Gestion droit d’auteur pour Raphaël Gaillarde ©ADAGP, Paris 2019 pour Pierre Soulages

『黒の画家』として知られ、昨年末100歳の誕生日を迎えたスーラージュへのオマージュを捧げた個展がルーヴル美術館とポンピドゥーセンターで同時に開かれている。

基本的に19世紀末までの作品に限られているルーブル美術館で、存命中の画家の作品を展示するのは極めて異例なことでピカソ、シャガールに次いで3人目である。しかも会場は、18-19世紀にサロン展が開かれていたプレスティージュの高い『サロン・カレ』。因みに20世紀初頭まで『モナリザ』が展示されていたのもこの部屋で、1911年に盗難され2年間失跡したことのあるサロンとしても有名だ。

さて、スーラージュ展は70年以上に渡る制作の変遷を辿るような形で、1946年から昨年の10月までに制作された最近作まで20数点がゆったりとしたスペースで展示されている。


Soulages au Louvre / Salon carré

初期には黒白のコントラストや褐色の濃淡も使われていたが、1979年に黒一色のモノクローム作品になり、以降黒だけを一貫して使うようになった。そうした作品を彼自身outrenoir(直訳すれば超越した黒)と名付け、黒色を越えて光の反射、光の探求の意味を込めた。

Pierre Soulages, Peinture, 326 x 181 cm, 14 mars 2009.
Acrylique sur toile. Washington, National Gallery
© Archives Soulages © ADAGP, Paris 2019
よく黒というと全ての光を吸収し、光の反射がまったくないといわれているが、スーラージュはそれを反証するかのように、光輝く黒を、各々異なったニュアンスで見せる。光の反射はまず外光によって、また鑑賞者の見る位置によって異なり、遠くから見ると一部白色のように見える作品もある。制作レベルでは初期のクルミ塗料やタールからアクリルにいたるまで多彩な素材によって、また紙質により黒のニュアンスが異なり、さらにナイフやブラシ、刷毛等の様々な道具によって作られた溝や凹凸によって黒の変容を浮き彫りにする。

『絵画というのは言葉が欠如している状態』といい、絵画で何かを表象することを一切拒否し、作品の表題も日付とサイズだけで構成されている。

ポンピドゥーセンターでも、常設展の中の2スペースを割いてスーラージュ展が開かれている。
抽象画が苦手の人も、偏見をかなぐり捨てて、孤高の画家スーラージュの黒が発する光の世界に是非浸っていただきたい。

Soulages au Louvre
Musée du Louvre - du 11 Décembre 2019 au 9 Mars 2020 -
公式サイトはコチラ
 

執筆者


林 正和   Masakazu Hayashi
パリガイド通訳サービス主宰

大阪生まれ。パリ在住あしかけ36年、東京外国語大学卒業、マスコミ関係の仕事を経て パリ第三(ヌーヴェル・ソルボンヌ)大学で博士号取得。
現在美術館および観光ガイド、通訳、コーディネートを幅広く手がける。
フランス政府公認ガイドライセンス有
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