欧州連合(EU)とスイスは3月2日、両者の関係を強化するための包括的な協定パッケージに調印した。同パッケージは2014年に交渉が開始されたが、2021年に中断され、2024年に再開されるなど、紆余曲折を経ていた。
今回締結されたパッケージは18本の合意文書から成り、人の自由な移動、貿易、輸送が対象となる。スイスは大部分の国公立大学でEU学生の学費をスイス人学生と同額にするほか、EU域内の格差是正に充てられる「結束基金」に3億7500万ユーロを拠出することも誓約した。また、食品安全に関する規則をすり合わせる目的で、「共通食品安全圏」が設けられる。さらに、スイスがEU域内の電力市場に参加できるようにもなる。
ただし、協定の批准には障壁が残っている。スイス側では、EUとの関係強化の正当性について議会を説得し、承認を得る必要がある。その後、2027年に国民投票で是非が問われる見込み。これとは別に、スイスでは、今年6月に移民制限を伴う人口制限案についての国民投票が予定されている。同案が賛成多数となれば、EUとの協定パッケージの実施に支障をきたす恐れがある。