ワイン・ビールなど飲料大手の仏カステルのお家騒動で、シンガポール高等法院が10月2日、創業者の娘に有利な判決を下した。ただ、争いに決着がつくのはまだ先になるとみられる。
カステルはワイン販売店チェーンのニコラを傘下に収めるなど、ワインなど飲料の製造・販売の大手企業で、フランスのほかアフリカ事業で強い。年商は65億ユーロ、グループの雇用総数は4万人に上る。創業者のピエール・カステル氏が一代で築き上げたが、現在は病床にある。世代交代の流れの中で内部紛争が表面化し、一連の訴訟沙汰に発展している。ピエール・カステル氏の税理士を務めたグレゴリー・クレール氏が2023年にグループのCEOに就任したが、同氏に創業者一族の一部が反発して対立。一人娘のロミー・カステル氏を担いでいたピエールの甥のアラン・カステル氏が役職から外されるに及んで、両派が相互に法廷で争う事態に至っていた。グループの構成は複雑で、シンガポールに置かれた上位ホールディング会社の人事を巡る争いが今回の裁判において裁かれた。このホールディング会社は2026年2月に臨時総会を開き、クレール氏とその側近のバエール氏を解任することを決定したが、クレール氏側は、ロミー・カステル氏が投票に参加したのは違法で、決定は無効だと主張して争っていた。裁判所は、投票に法的問題はなかったと認め、決定を有効とする判断を下した。ロミー・カステル氏が勝利を収めた。 クレール氏側は、ホールディング以下の組織に人事決定が及ぶことはないと主張しており、複雑な構成の各社における権限の維持に向けて争いを続ける構えを見せている。中でも、一族の権利者を代表するトラスティーがどのような対応をするかが今後の鍵を握る要因になりうる。ロミー・カステル氏は、係争によらず、事業は正常に継続されるよう配慮すると約束している。カステルグループを巡っては、これ以外にも税務当局が10億ユーロにも上る追徴金を請求しており、波乱の種は尽きない。