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家庭内雇用向けの税額控除、見直しの対象か

ドモンシャラン予算相は6月10日、民放ラジオ局RTLとのインタビューの機会に、家庭内雇用を対象とする税額控除(タックスクレジット)を見直す可能性を示唆した。準備中の2026年予算法案に盛り込む考えを示した。

この税額控除制度は、ホームヘルパーなど家庭内でサービスを提供する業者(全26種)への支払いに適用され、支出の50%までを所得税納税額から控除することができる。納税額を超える場合には還付金の形で支給される。年間規模は56億ユーロに上り、330万人がその適用を受けている。予算相は、託児と高齢者支援については削減対象にはしないと約束したが、その他のサービスについては、適正規模への見直しを進める考えを示唆。税額控除の率の引き下げを含めた検討の対象とする方針を示した。

同税額控除制度の見直しは、この制度が特に富裕層の利益になっているとみる左派陣営の間で賛成論がある。これに対して、業界団体FEPEMは、家庭内雇用に係って支払われている社会保険料があり、また、雇用創出効果により失業手当の支給が回避される効果を考慮するべきだと主張。それを考えると、国は56億ユーロを負担する一方で、44億ユーロを回収している計算になり、安易に税額控除を縮小するのは公の利益にならないとする論拠を展開している。

これとは別に、政府は断熱リフォーム向け支援金制度「MaPrimeRenov’」を7月1日付で中断すると予告していたが、ドモンシャラン予算相は、これを9月15日付で再開すると発表した。同制度は不正が多いことが問題視されており、また、2025年予算の36億ユーロでは不足する状況になりつつあったことから、政府は中断を決めていたが、関連業界が受ける打撃や、気候変動対策の後退を問題視する声もあり、早々に再開決定に追い込まれた。

KSM News and Research