保守系日刊紙ルフィガロは6月18日付で、同日に教育省に提出される2件の報告書の内容を報じた。生徒と教員の質の低下を問題視する内容となった。
報告書はボーヌ戦略企画高等代表がまとめた。戦略企画高等代表は首相府下の政策提言機関の長であり、バイルー現首相を処遇する目的で設置されたポストだった。現在は、マクロン大統領に近い閣僚経験者のボーヌ氏が務めている。
報告書は、PISAなど国際調査の結果を引用しつつ、フランスの生徒の学力が特に数学について低下しているのを問題視。そうした学力低下が高等教育の学卒者のレベルにまで浸透しているとは今のところ言えないが、エンジニア養成校の卒業者のうち研究職に進むのは2割程度と少ない点などを指摘し、教職・研究職の誘致力が低下していることをあわせて問題視した。教員の養成という点では、早いうちから実習を取り入れている諸外国と比べて、フランスには改善すべき点が多々あると指摘。教員不足が進み、契約採用の教員が増えていることなどを問題視した。教員の報酬の水準については、それだけで教員の誘致力低下を説明することはできないとし、教員をリソース面で、またキャリアの面で支援する体制の確立が重要だと指摘している。