英国下院はこのほど、「成人末期患者法」案を最終的に採択した。自ら死を選ぶ末期患者へのほう助について法的枠組みを定める内容。賛成314、反対291の僅差にて採択された。 法案は、余命6ヵ月以内と診断された人について、自ら薬物を摂取する能力がある限りで、自殺をほう助することを医療チームに対して認める内容。法案の名称が示すように、未成年者は対象外となる。本人の請求を受けて、医師2名が決定を承認した上で、弁護士、精神科医、ソーシャルワーカーが1名ずつ加わる専門家委員会の承認を得て実行される。当初法案では、最高裁判事による承認が必要とされていたが、これが専門家委員会による承認に修正された。医療スタッフ(看護師など)には、実行に加わるのを忌避する権利が認められる。 法案の反対派は、金銭的な理由から周囲の圧力に屈して死を選ばされる、いわば「姥捨て山」的な状況が常態化する恐れがあるなどと主張している。賛成派は、尊厳死を可能にする重要な社会的進歩だと法案採択を歓迎している。法案は今後、上院の審査を経て施行される見通しだが、実際に適用が可能になるのは4年後になるという。適用されるのはイングランドとウエールズで、スコットランドでは自治議会が同様の法案を審議中。政府は、将来的に年間4500人がこの法律に基づいて死を選ぶものと予想している。