公共放送部門の改革法案が下院で審議されるのに先立ち、国営ラジオ・フランスでは6月26日にストが始まった。労組連合(CFDT、CGT、FO、SNJ、SUD、UNSA)が足並みを揃えてストを呼びかけた。労組側では、公共ラジオ放送の独立性が損なわれる恐れがあると主張し、改革に反対している。
公共放送改革法案にはダティ文化相が肩入れしている。ラジオ・フランス、フランス・テレビジョン、INA(アーカイブを所有・運営する特殊法人)の3社を、新ホールディング会社「フランス・メディア」の下に置き、連携強化を図るという内容だが、労組の側では、公共放送の予算削減の口実になり、報道の独立性が損なわれたり、文化創造への貢献が妨げられたりする弊害を招くとみて、警戒を強めている。法案の下院審議は30日に予定されており、フランス・テレビジョンなど公共放送部門の他の企業の従業員もそれにあわせて抗議行動を行う予定だが、ラジオ・フランスではそれに先んじて、大規模なストを開始した。ラジオ・フランスでは、若者専門局の廃止や、調査報道の削減など、経営方針に対する危機感が既に強く、改革への反発もそれだけ強い。特に、フランス・メディアにおいて、CEO直属の報道部長を置いて、傘下のテレビ・ラジオ局の報道部門を統括するというプランに、各局の報道部が強く反対している。