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マクロン仏大統領、ロシアのプーチン大統領と電話会談

マクロン仏大統領は7月1日、ロシアのプーチン大統領と2時間余りに渡り電話で会談した。両者の会談が実現したのは、2022年9月以来でこれが初めて。ロシアによるウクライナ侵攻の開始後に、マクロン大統領はあえてモスクワを訪問してプーチン大統領と会談した。以来、接触は途絶えていたが、イラン情勢に大きな変化があったことを踏まえて、マクロン大統領は再びプーチン大統領との会談に踏み切った。欧州諸国の首脳がプーチン大統領を避け続けているのと対照的な動きになった。

イランの核開発問題で、マクロン大統領は特に、米国主導の交渉となって、欧州が蚊帳の外に置かれることを恐れているという。国連安保理の常任理事国の5ヵ国の一角を占め、共に核保有国として、核拡散防止条約の順守に責任を負うべき立場にあり、さらにイランの盟友であるロシアと協議を行うことは、この問題でフランスが存在感を示すために有用だという読みがマクロン大統領にはあるものとみられる。仏政府筋は今後、中国とも協議することを明らかにしている。

プーチン大統領との会談では、ウクライナ問題も協議の対象となった。マクロン大統領はこれに先立ち、ウクライナのゼレンスキー大統領にこの電話会談について事前に通知し、会談後には内容について報告を行った。プーチン大統領は電話会談において、欧米がウクライナを橋頭保にしてロシアに対して駒を進めてきたので自衛のために反撃した、という従来のストーリーを繰り返したといい、マクロン大統領は即時停戦を求めたが当然に成果はなかった。電話会談の実現について、米国に主導権を奪われるばかりで欧州が無力感に取り込まれる状況に風穴を開けるという効果があるが、プーチン大統領は、こうした動きを、敵が弱みを見せたとのみ考えるタイプであり、成果が得られないのが空しいところだという見方もある。

KSM News and Research