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フランスでも少子化が進行、家族の理想の子どもの数も減少傾向に

公的機関INED(国立人口問題研究所)はこのほど、少子化の現状と将来予測、そしてその原因を考究する調査結果を公表した。

フランスの合計特殊出生率は、2014年には2.0に達していたが、2024年には1.6まで低下。他の欧州諸国と同様の推移を辿っているが、フランスでは過去には出生率が高めで推移しており、この10年の低下の勢い(20%減)はかなり大きい。

世代別の実績を見ると、1960年代生まれで1人当たり出産数は2.0-2.1、1980年生まれでは2.1と、わずかに増加して推移していた。1985年以降に生まれた女性はまだ出産可能な年齢にあり、実績の数字は推定による以外にはない。その推定に資するデータとして、INEDは2024年に意識調査を行い、これを過去の同様の調査と比較した。それによると、家族の理想的な子どもの数を尋ねたところ、2024年調査では、全世代の平均で2.3人となった。これは、1998年の同様調査の2.7から目立って減少している。次に、女性に自身が望む子どもの数を尋ねたところ、18-24歳では1.9人、25-34歳では2人と、若い世代ほど数が減り、また、理想像に比べても少なめであることがわかった。希望と現実の間にも差があり、2005年の調査時における回答(1970年代に生まれ、調査当時に25-34歳)は、その世代が実際に出産した数と比べて0.5多かった。こうした要因を考慮すると、実際の1人当たりの出産数は、1990年生まれの女性で1.8-2.0、1995年生まれの女性で1.6-1.9、2000年代生まれの女性では1.4-2.0(おそらく1.6前後)まで低下すると予想される。

2024年調査では、子どもの理想の数として2人を挙げた人(男女とも)が全体の65%を占めて多数派となっているが、1998年調査ではこれが47%だった。1998年には、3人以上を挙げた人が合計で過半数に達していたが、2024年調査では29%まで後退しており、理想像における子どもの数は減っている。自身が希望する数でも、こちらは2005年調査との比較だが、0人(6%から12%へ)と1人(12%から18%へ)と答えた人の割合が増え、3人以上と答えた人の割合が減っている(38%から23%へ)のが目立つ。

こうした少子化志向の高まりの理由としては、若い世代を中心に、未来への不安が高まっていることが挙げられる。また、男女平等の観念が少子化志向に結びついていることも見受けられる。2005年調査と2024年調査を比較すると、2024年調査では、男女平等を重視する人と、少子志向を示す人の間に相関関係が見られたが、2005年調査ではこれが見受けられなかったという。

KSM News and Research