政府が7月15日に、予算法案の骨子の発表に絡んで示唆した「有給休暇5週目の賃金化」構想について、すべての労組が強い反対意見を表明した。実現の可能性は薄いとみられる。
政府は、財政収支改善の方法の一つとして、富の創造に向けて国民により多く働くことを奨励する方針を示した。その一環として、希望者は有給休暇5週目を返上し、超過勤務扱いで報酬を受け取るとの構想を提示していた。企業側が従業員のそのような申し出を拒否することが認められる。政府はこれを、購買力増強の手段ともなり、企業側にとっては、労働力確保に貢献しうる措置だと説明している。
5週目の有給休暇は、1982年にミッテラン左派政権が導入した施策の一つであり、象徴的な意味がある。労組側は、改革派労組のCFDTを含めて、政府の提案を強く批判。労組側は特に、「自主的」といっても、会社側の圧力で就労を強いられるような状況になる恐れがあると指摘。また、企業が新規採用を手控える要因にもなりうるとし、購買力増強ということなら、賃上げや利益分配の強化など、なすべきことがほかにあるはずだと主張している。半面、経営者団体はいずれもこの措置に賛意を表明している。
政府は反対に配慮し、もともと労使交渉に付すべき一案として提示したものであり、扱いは労使に委ねられると説明。観測気球が早くもしぼんだ格好だが、同じく政府が提示した祝日2日廃止構想ともあわせて、労働強化を掲げる動きが強まっていることの現れであるのは間違いない。