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マクロン大統領、パレスチナの国家承認を予告

マクロン大統領は7月24日夜、フランスがパレスチナの国家承認を行うと予告した。9月の国連総会の機会に行うとした。欧州では既に数ヵ国がパレスチナの国家承認に踏み切っているが、国連安保理の常任理事国とG7諸国の中では、パレスチナ承認はこれが初めてとなる。

マクロン大統領は以前から、フランスが基本方針として掲げてきた「二国家解決」に沿った形で、パレスチナ承認に前向きの姿勢を示していた。今回の発表は、内容そのものに従来の方針と比べて大きな変化はないが、このタイミングで発表されたことが驚きを誘っている。この発表について、イスラエル政府は当然ながら厳しく非難。米国政府は軽率な決定だと批判しており、ドイツも距離を置く姿勢を示した。 国内でも、大統領の発表には、それぞれ異なる立場からではあるが、批判的な声が多く聞かれる。まず、パレスチナ寄りの左翼政党LFI(不服従のフランス)などは、一刻も早く承認すべきであり、9月に承認というのでは、「あと2ヵ月も殺す許可を与えるようなもの」(LFIを率いるメランション氏)などと批判している。ただ、LFIも含めて、左派勢力は、パレスチナ国家承認の実現に向けて、マクロン大統領の邪魔はできない立場に置かれたことになる。他方、マクロン政権に加わる右派「オリゾン(地平)」を率いるフィリップ元首相は、ハマスによる人質がすべて解放されていない現状では、パレスチナ国家承認は「賭け」だとして慎重な姿勢を示したが、他の大国の賛同を得られれば、また、中東諸国によるイスラエル国家承認を得るきっかけとなれば、賭けに勝つこともできると述べて、一定の理解を示した。マクロン大統領がこのタイミングでパレスチナ国家承認を持ち出したのは、やはり、ガザ地区の人道的状況が厳しく、飢餓が広がっていることが背景にある。国内向けには事を起こす正当性を与えると共に、国際的には人道問題の解決に向けて圧力をかけることにもつながるという読みがあるだろう。この点に絡んで、仏政治勢力の中では今や、イスラエルのネタニヤフ政権支持に最も熱心な極右政党RNは、ガザ地区の危機的状況の報道は信用に足らないとして退け、パレスチナ国家をハマスと同一視した上で、国家承認はテロリズムに褒美を与えるようなものだとマクロン大統領を攻撃している。

KSM News and Research