欧州連合(EU)のバッテリーに関する規則第2023/1542号が8月18日付で全面施行となった。すべての加盟国において、同規則の全規定が同じように適用される。
この新規則は、2006年のEU指令を後継する形で制定された。従来は、重量が5kgに満たない電池・バッテリーを対象に、リサイクル義務などを課す内容だったが、新規則においては、重量を問わずにすべての電池・バッテリーについて、設計・製造・ライフサイクル終了時の全段階において、メーカーに一連の義務が課される。専ら、自動車を中心とするモビリティ関連のバッテリーが新たに追加される対象となる。いわゆる拡大生産者責任に基づいて、廃バッテリーの回収から重要材料(ニッケル、亜鉛、鉄、リチウム、銅、マンガン、コバルトなど)のリサイクルの枠組みを整えることが義務付けられる。
EUはこの新規則を、EVバッテリーとその必要資源の対外依存の軽減を視野に収めて制定した。2030年までに、製品における重要金属の25%以上をリサイクル材料とするとの目標も設定した。また、2027年からは、2kWhを超えるバッテリー(EV車載バッテリー含む)について、「デジタルパスポート」の添付が義務付けられる。これは、QRコードの形で、製品に関する情報を開示するもので、製品のライフサイクル全体のトレーサビリティ確保などに貢献するツールとなる。