仏会計検査院は9月3日、パリ・ノートルダム大聖堂の復興事業に関する3度目の監査報告書を公表した。全体として工期と予算、および歴史的建造物に関する法規を順守した事業推進がなされたと肯定的な評価を与えた。
2019年4月15日の火災後、時をおかず世界中から修復資金として寄付金が寄せられた。その総額は2020年時点で8億2500万ユーロに上った。報告書はこれについて、募金活動を指揮した3つの財団が、管理費を抑制しつつ透明性の高い活動を行ったと評価した。修復作業では、監督する公的機関(EPRNDP)が新設され、教区が担当する工事との調整が図られ、不測の出費等への対処も効果的になされた。
2022年に修復工事費用は総額5億5200万ユーロと見積もられていた。尖塔の修復だけで7200万ユーロ、大聖堂内部の修復には3100万ユーロがかかった。寄付金のうち使われなかった1億4000万ユーロは、火災以前からの損傷修復となる第3段階の工事に充てられる。まず5100万ユーロをかけて、後陣、飛梁、司祭館に必要な修復を行う。
火災の教訓から、大聖堂の木造の屋根組み部分に防火壁と噴霧システムを設置、煙検知システムも導入し、シテ島の給水設備を強化した。常勤警備員2人を雇用するなど安全対策も見直されて、大聖堂の運営費は年間520万ユーロ(教区が320万ユーロ、国が200万ユーロを負担)へと倍増する。
ノートルダム大聖堂には、2024年12月の再開から既に700万人が訪れた。塔は火災後で初めて、9月20日の「文化遺産」イベントの機会に一般の見学を受け入れる。