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マクロン大統領、次期首相にルコルニュ軍隊相を指名

マクロン大統領は9月9日、バイルー首相から辞表を受け取った後、次期首相にルコルニュ軍隊相を指名した。側近を首相に起用した。

バイルー首相は、緊縮型の予算法案を成立させるめどが立たず、打開を狙って下院で内閣信任投票を行ったが、予想通りに不信任となり、辞任に追い込まれた。大統領は首相辞任を見越して早くから調整していたらしく、時を移さずに次期首相の指名に踏み切った。

首相に指名されたルコルニュ軍隊相は39歳。もとは保守政党「共和党」に所属し、保守や極右が強いウール県(ノルマンディー地域圏)を地元とする。早い時期からマクロン大統領派に転じ、2017年にマクロン大統領が初当選して以降は、一貫して閣僚職を歴任しており、2022年以降は軍隊相を務めてきた。大統領の信任は厚く、困難な状況でかじ取りを任されたことになる。

次期首相は、予算法案の採択という最重要課題に取り組むことになるが、それより前に、国会による不信任を乗り切ることが条件になる。ルコルニュ氏の人選について、野党勢力は一斉にマクロン大統領を批判。極右RNは解散総選挙、左翼政党LFIは大統領の辞任という従来の要求を繰り返し、緑の党も、民主主義を否定して仲間内で政府を維持しようとするやり方だなどと批判した。左派系の人材を首相に起用すべきだと働きかけていた社会党も人選を厳しく批判している。その一方で、マクロン政権に協力する共和党は、左派系の人材が登用されなかったことを歓迎しており、大統領派の中間勢力と保守の求心力を維持するにはこの選択肢しかなかったとも考えられる。ルコルニュ軍隊相はかつて、極右RNのリーダーらを省に招いて協議を行ったことを報道されたこともあり、極右を含めて話し合いを進めることができる人物として起用された可能性もある。そのRNは、大統領への対決姿勢を鮮明にしており、切り崩すのは難しいとも思われるが、社会党については、批判的ではあるが協議に応じる姿勢を示しており、ルコルニュ新内閣がスタート前から潰されるのを回避できるとしたら、左派の一部からの一定の協力の取り付けがカギになる。ルコルニュ新首相は、予算法案に関する協議を全政治勢力と進めて、展望を得た上で組閣を行う方針という。

KSM News and Research