パリ高裁は9月8日、極右政党RNの架空雇用事件の控訴審裁判の日程を決めて発表した。2026年1月13日から2月12日まで公判を行うことを決めた。期間中の毎週月曜午後から水曜日まで公判が開かれる。
この事件では、RNの前身であるFN(国民戦線)が2004年から2016年にかけて、所属の欧州議員に党の職員らを議員秘書として雇用させて、欧州議会の公費を党運営のために流用していた疑いがもたれている。パリ地裁は第1審で容疑事実を認めて一連の有罪判決を言い渡した。これを不服として、法人として有罪判決を受けたRNを含めて13の被告人が控訴していた。その公判の日程が決まった。
裁判では、RNを率いるマリーヌ・ルペン下院議員団団長が、被選挙権の即時停止を含む厳しい有罪判決を受けた。即時停止は、上訴により有罪判決が確定していなくても、裁判所の判断で命じることができるというもので、大統領選挙の常連候補であるルペン氏は、政治的に排除することを狙った厳しすぎる措置だとしてこれに反発。大統領選挙(2027年春)に出馬できるよう、迅速に控訴審で判決を出すよう求めていた。ルペン氏の主張には、政府部内にも理解を示す向きがあり、そうした圧力の中で、控訴審となるパリ高裁は、2026年夏には判決を出すことを約束していた。今回、それに沿った公判日程を決めた。結審から判決が出るまで4ヵ月が必要であり、6月下旬には控訴審判決が出ることになる。
控訴審が判決において被選挙権の即時停止決定を取り消すとは限らないが、ルペン氏は望み通りに、大統領選出馬が可能になるシナリオは確保することができた。なお、2026年の3月15日と22日には統一市町村選挙の投票が行われることになっており、この選挙キャンペーン中に判決が出ないような日程で公判は行われる。それでも、RNの関係者らは、市町村選挙において裁判を政治的に利用できるような日程が意図的に選ばれたなどとする主張を展開している。