フランス中銀は9月15日、仏経済成長率予測の修正結果を発表した。2026年以降の成長率を下方修正した。2026年予算法案を策定中のルコルニュ首相にとって状況は一段と厳しくなる。
2025年については、6月に発表の直近予測を0.1ポイント引き上げ、0.7%とした。半面、2026年については、0.1ポイント下方修正し、0.9%とした。3月に発表の予測値は1.2%とされており、それと比べると大幅な引き下げとなる。2027年の成長率については、0.1ポイント引き下げ1.1%とした。なお、2024年の経済成長率は1.1%だった。
足元のフランス経済は予想よりも堅調に推移しているが、フランス中銀は、トランプ関税の影響が今後浸透し、また、ユーロ高ドル安も外需にマイナスの影響を及ぼすと予測している。中銀のビルロワドガロー総裁はルパリジャン紙とのインタビューの中で、財政赤字の圧縮(2029年時点で対GDP比3%以内を達成)について、仏政府の公約でもあり、公的債務残高の増加に歯止めをかけるために是非とも達成すべきだと指摘。支出の抑制を柱に収支の改善を進める必要があるとし、収支改善の努力に伴う経済成長の押し下げ効果は、不確実性の軽減による景気刺激の効果により補われて余りあるとの見方を示した。
中銀によると、先行き不透明を反映して、企業設備投資は2025年に0.6%減少し、2026年には1.2%の増加に転じる。金利低下の影響が遅れて浸透すると予想した。個人消費支出は同年に1%の増加にとどまり、実質賃金の上昇に比べると個人消費の拡大の足取りは鈍くなる。