ルコルニュ首相の官房は9月19日、首相の学歴について、「マスター1」であることを確認した。詐称報道の鎮静化を図った。
首相は1986年生まれの39歳。一部の経歴紹介に、「パリ第2大学公法修士(マスター)を修了」と記されていたことが詐称に当たるとの報道がなされていた。首相は、軍隊相として軍隊省のウェブサイト上では、上記の文言を最近になり「修士に就学」と改めており、疑惑の目を向けられていた。首相官房はこれについて、修士課程1年を修了後に学業を続けなかったものであり、現在の制度における「マスター」修了の意味ではないと説明している。
フランスの大学制度は2003年頃に見直された。改正前は、学士課程が3年、修士課程が1年となっていたが、これが、学士3年、修士2年に改められた。修士課程は1年目と2年目が区別され、2年修了が「マスター」と呼ばれることになった。首相サイドの説明は、旧制の修士とマスターの間で混同があったもので、虚偽の流布ではないとする内容になる。
ルコルニュ首相は保守本場のウール県(ノルマンディー地方)に育ち、若いうちから保守政党(共和党前身のUMP)に入党。学歴は取り立てて華々しくないが、2014年に地元のベルノン市市長に就任して以降、議員職を叩き上げて、2017年のマクロン大統領初当選時より大統領派に転じた。ポピュリズムのご時世で、特に政治家の場合、学歴は低い方がむしろ好都合なほどではないかとも考えられるが、小幅に経歴を盛るのは政治家といわず、人間の普遍的な性質であるかもしれない。