マクロン大統領は9月22日、国連総会の機会を利用して、パレスチナの国家承認を正式に行う。英国や一部欧州諸国など9ヵ国がフランスと共にパレスチナの国家承認を行う。
これを記念して、フランス国内では、市町村がパレスチナの旗を掲げようとする動きがある。去る14日時点で、社会党のフォール第一書記が国旗を掲げる呼びかけを行って注目された。これには、ルタイヨー内相(共和党)が否定的な見解を示し、各県の知事(任命制の行政長官)に対して、パレスチナ国旗掲揚の場合にはすべて、行政訴訟を提起するよう指示した。パリ郊外マラコフ市が提訴の対象の第1号となり、20日には国旗を降ろすよう、セルジー・ポントワーズ行政地裁が命令を下した。同裁判所はまた、パレスチナ国旗掲揚を予告していたブゾン市(バルドワーズ県)についても、掲揚を禁止する命令を下した。
内相の周辺はこの対応について、ちょうどユダヤ教の新年のお祝いの時期でもあり、イスラエル・パレスチナ紛争が仏国内に移入され、緊張が高まるリスクをはらんでいると説明。政府への抗議行動の参加者とパレスチナ支持が同期する傾向もあり、騒乱が発生するのを避けるためにも、自制のある対応を促すのが狙いだとの考えを示している。知事による提訴は、2021年の「分離主義対策」法に基づいてなされており、この法律は、「中立性確保」のための命令を48時間以内に下すよう、知事が行政地裁に請求できる旨を定めている。共産党市政のマラコフ市は、裁判所命令への異議申し立てはしないが、国旗の掲揚は予定通りに23日に終了するとして、あえて順守はしない考えを示している。国旗掲揚の是非については、社会党など左派勢力内部にも賛否両論があって、姿勢は必ずしも一致していない。
なお、22日には、ルタイヨー内相による圧力にもかかわらず、リヨン、ナント、サンドニなど50を超える市がパレスチナ国旗の掲揚を行った。