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仏主要3研究機関、臓器チップの研究プログラム「MED-OOC」を開始

3つの仏主要研究機関が合流した臓器チップ(OoC)の研究プログラム「MED-OOC」が2025年夏にグルノーブルを拠点として発足した。政府はこの研究プログラムを優先扱いに指定。公的投資計画「フランス2030」の下で、6年間に4860万ユーロの予算を設定した。CEA(仏原子力・代替エネルギー庁)、CNRS(フランス国立科学研究センター)、Inserm(仏国立衛生医学研究所)の3機関が協力して4件の研究プロジェクトを進める。

臓器チップ(OoC)とは、生物の臓器の生理学的環境を模倣したミニチュアモデルで、チップサイズのデバイスに生成するという先端技術。この臓器チップを、血液循環を模様したシステムと組み合わせることにより、従来のインビトロの試験に代わる試験・分析の手段を構築することが可能になる。

テーラーメイド医療の分野における応用手段の開発が目標となる。プロジェクトのうちの一つは、膵臓チップのための血液循環システムの開発で、CEAがグルノーブル大学病院の協力を得て進める。患者の細胞培養を通じてチップを生成し、臓器移植の場合の拒絶反応の予測に用いられる。2027年末以前の治験開始を予定する。このほか、CNRSがパリで行うプロジェクトは、がん細胞からチップを生成し、複数の治療手段から最良のオプションを選択することを可能にするソリューションの開発を目指す。さらに、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)のバイオマーカー発見を目的とするプロジェクトと、これらのプロジェクトの成果を商用化するキットの設計開発が進められる。

臓器チップの世界市場は、2025年に2億ドル、2034年には20億ドルと10倍に成長するものと予想されている。

KSM News and Research