大統領府は9月26日、仏国鉄SNCFのCEOにRATP(パリ交通公団)のジャン・カステックスCEOを指名すると発表した。退任するファランドゥーCEOの後任となる。カステックス氏は官僚出身で、2020年7月から2022年6月までマクロン大統領の下で首相を務めた。首相を退任後にRATPのCEOに就任した。自他共に認める鉄道好きで、首相就任前の2019年秋にも、SNCFのCEOに就任を目指して運動したが、社内の人材であるファランドゥー氏が選ばれたという経緯がある。マクロン大統領は、ファランドゥーCEOが労組との間で結んだ協定を、年金改革をかいくぐる手段とみなして、2024年春の時点でCEOの再任を却下することを決定。パリ五輪などを終わらせるまでの暫定的措置として任期を延長し、後任探しを続けていた。
ラポスト(郵便)の会長兼CEOには、ケオリス社のマリーアンジュ・ドボンCEOが指名された。ドボン氏は60歳。名門ビジネススクールHECと高級官僚の登竜門であるENA(国立行政学院)を卒業し、会計検査院を経て、官民の実業界に転身した。仏国鉄SNCFの子会社であるケオリス(公共交通機関運営)のCEOには2020年に就任していた。ラポストは国が100%資本を握る株式会社で、従業員数は22万6000人、年商は340億ユーロ。バール会長兼CEOは、自らと同じく銀行子会社ラ・バンク・ポスタルのトップを務めているデデイヤン氏を後任に推したが、同氏の高額報酬問題の暴露報道を経て後任人事は難航していた。指名権のあるマクロン大統領は結局、外部からの人材登用を決めた。正式任命は国会小委員会の承認(任命阻止には5分の3を超える票が必要)が必要。