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フランス軍、成層圏装備開発に意欲

フランス軍は成層圏の軍事利用を目的とする装備開発に意欲を示している。空軍・宇宙軍の責任者を務めるルジエ氏が先に下院での聴聞の際に説明した。

フランス軍は去る6月17日に成層圏戦略を策定した。成層圏が含まれる高度20kmから100kmまでの空域における作戦遂行の能力を確保するのが狙いで、諸外国との遅れを取り戻すことが目標となる。

具体的なプロジェクトとしては、主にデュアルユース的な3件のプロジェクトが取り沙汰されている。タレス・アレニア・スペースが開発する高高度飛行船「Stratobus」は、自重8トン、ペイロード400kgで、直径500kmの範囲をカバーして1年間に渡り連続滞留することができる。偵察や通信網の確保などのミッションをこなすことができる。紛争地帯における投入は、防衛手段が伴わないため難しいが、被災地の通信環境を迅速に整えるなどのミッションでは威力を発揮することが期待できる。軍隊省下のDGA(装備総局)は、プロトタイプ(2分の1)の制作に1000万ユーロを融通することを約束。プロトタイプは2026-28年の制作を予定し、「本物」は2030-31年の完成を目指す。

Hemeria 社が開発する高高度気球「Balman」は、操縦可能なヘリウム気球で6ヵ月に渡り連続滞留が可能。ペイロードは25kgで、軍用輸送機A400Mにより運ぶことができる。今月末には仏領ギアナのクールー宇宙基地で試験が行われる予定。

エアバス・ディフェンス&スペース子会社のAaltoが開発する成層圏ドローン「Zephyr」は、太陽電池パネルで得た電力をバッテリーに蓄えて稼働する。自重は75kgで、ペイロードは10kg。民生用としては実用段階にあり、成層圏通信プラットフォームの提供用に、日本の通信事業者が加わるコンソーシアムHAPSが商用化の準備を進めている。

KSM News and Research