動物用医薬品の仏大手ビルバックはこのほど、医薬品配合の猫用ドライフード「Vikaly」を発売した。腎不全治療薬を配合した製品を発売する。成功したら他の医薬品を配合した製品も販売する。同社によれば医薬品配合ペットフードは世界初だという。
猫に薬を飲ませるのがいかに困難であるかはオーナーなら大概は知っている。シニア猫に多い腎機能低下の慢性症の治療薬を配合したドライフードの潜在的需要は大きいと考えられる。ビルバックはペットフードの販売を獣医経由に限定して行っており、価格の設定も獣医に委ねる。好き嫌いの多い猫だけに食いつきはいいのか、そして価格がどの程度なのかが、成功の鍵を握る要因になるだろう。
ビルバックはペットフード事業で全社年商(14億ユーロ)の1割程度を達成している。比重はまだ小さいが、この5年間で毎年2桁台の増収率を達成している。薬効成分をドライフード中に安定的に維持するための技術開発に10年を要したという。なお、ペットフード需要の増加を背景に、サンジル市(ガール県)にペットフードの第2工場を建設中で(投資額7000万ユーロ)、同工場は2029年の操業開始を予定している。
フランスでは、人口の60%が何らかのペットを所有しており、合計で推定7900万匹を数える。この数は1976年と比べて2.5倍に増えている。近年は「小型化」の傾向がみられ、大型犬より小型犬、犬よりは猫に人気がシフトしている。猫は推定1670万匹で最も多く、犬の970万匹を上回っている。
KSM News and Research