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ルコルニュ首相が辞任、マクロン大統領は首相に再度協議を要請

ルコルニュ首相は10月6日朝にマクロン大統領に辞表を提出し、受理された。大統領は同日夕方に、首相に対して、再度、「国のために行動と安定性を確保するためのプラン」を定める目的で最後の協議を行うよう求めた。8日夜を期限として協議を行い、結果を報告するよう求めた。

フランスでは、マクロン大統領派の与党が下院で過半数を失い、不安定な政局が続いている。財政立て直しに不可欠な予算法案の準備が難航する中で、バイルー内閣が不信任により退陣に追い込まれ、後任としてルコルニュ首相が9月に就任したばかりだった。就任から1ヵ月足らずをかけて各方面と協議した後、5日夜に組閣人事の結果を公表したが、これが与党に加わる共和党(保守)から強い批判を受けた。そのため、ルコルニュ首相は6日朝に、初閣議が行われる前に辞任するという前代未聞の事態に発展していた。共和党は特に、ルメール元経済相が軍隊相に指名されたことを問題視。経済相として財政赤字と公的債務残高の膨張を招いた人物を復帰させるのはおかしいと非難していた。共和党の協力がなければ政局運営は行き詰まることから、首相は辞任を決めたものと考えられる。

マクロン大統領は6日に表明された各方面の反応を見て、解散総選挙に向かうことを大方は望んでいないと判断したのか、「最後の協議」を辞任した首相に委ねるというこれも前代未聞の決定を下し、同日夜に発表した。ただ、この発表については、理解に苦しむという声が広く国民の間から、また与党勢力の内部からも上がっており、非難の矛先は大統領に向かいつつある。共和党や社会党など、与党勢力が協力を取り付ける必要がある政治勢力を含めて、「延長戦」の決定には冷ややかな反応が寄せられており、2日後の期限までに成果が得られる可能性は高くない。

政局混迷を受けて、パリ株式市場CAC40指数は6日に終値で1.36%の下落を記録。回復していた8000ポイント台を再び割り込んだ。10年物の仏長期金利は一時3.61%まで上昇。独仏スプレッドは同日に84.9ベーシスポイントに拡大し、2012年のユーロ危機並みの水準となった。

KSM News and Research