ルコルニュ首相は10月7日、マクロン大統領の依頼を受けて、政治勢力との協議を開始した。8日夜まで協議して結論を大統領に提示する。
左翼政党LFI(不服従のフランス)は首相との協議を拒否した。他の政党は協議に応じたものの、打開策を見つけるには困難が大きい。その一方で、以前からマクロン政権を支えてきた各党内部からの大統領批判の声が高まっている。マクロン政権で最初の首相を務めたフィリップ氏(右派政党オリゾンを率いる)は7日朝に、大統領選の繰り上げ実施を秩序ある形で準備することを提案。2026年予算諸法案の採択後に大統領選挙を行うとの展望を示した。フィリップ氏は大統領選挙への出馬に意欲を示しており、マクロン大統領に辞任を迫る内容の発言でもある。大統領が立ち上げたルネサンス党のアタル幹事長(元首相)も、マクロン大統領の考えがわからない、何がなんでも主導権を確保しようとしているように見える、などと述べて、明確に大統領に対して批判的な言葉を口にしている。大統領を「裸の王様」になぞらえる論調もある。こうした中で、ボルヌ教育相(ルネサンス)は8日付のルパリジャン紙とのインタビューの中で、自らが首相時代に制定した年金改革の停止に応じるべきだと言明し、注目された。年金改革の停止は社会党が特に要求している施策だが、教育相は、共和党から社会党までの支持を確保できなければ政局維持は不可能であり、これは算術的な現実だと指摘。解散総選挙で政局不安定が解消されるとは考えられず、悪しきシナリオであると退けた上で、各方面が納得できるように、政治的な野心のない人材を市民社会から登用して首相に据えて、全員が譲歩して事に当たるべきだと述べた。