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欧州委、気候変動対策関連の外交方針をビジネス寄りに修正

欧州委員会が気候変動対策関係の外交方針を修正する。ビジネス志向と競争力を優先した現実的な方針に切り替えるという。近くブラジルで開幕する気候変動枠組み条約締約国会議(COP30)が試金石となる。

欧州委のフックストラ委員(気候担当)らが欧州のメディアとの取材に答えて明らかにした。トランプ米政権が気候変動パリ条約から再び離脱し、気候変動を「詐欺」と非難する一方で、中国が気候変動関連のビジネスチャンスで独り勝ち(EV製造の70%、風力発電機製造の80%、太陽電池パネルの製造の90%の世界シェアを占有)の様相を強める中で、欧州連合(EU)として、より現実的な視点に立って、柔軟な交渉と取引を優先し、気候変動のビジネスチャンスを取り込んでゆくことに努めるとの方針を打ち出した。

欧州委は特に、アフリカ大陸において、再生可能エネルギーの需要が大きいのに、投資が実現していないと指摘。欧州企業がクリーン技術の世界生産において2030年までに15%のシェアを達成できるようにすることを目標に、途上国が必要とする技術と金融手段を提供するという、理念より実利優先のアプローチを志向するという。このために、欧州委は、諮問組織として「対外クリーン移行ビジネスカウンシル」を設置するとともに、再エネ発電施設の整備など大規模プロジェクトを推進するための「特別コーディネーター」を任命する方針。欧州連合(EU)が結んでいる76件の自由貿易協定(貿易の44%をカバー)を、クリーン技術推進と重要資源へのアクセス確保の足場として活用し、EUの炭素国境調整措置に途上国が対応できるようにするための支援を兼ねて関係を強化してゆく方針も示した。

KSM News and Research