パリ重罪院は10月24日、パリ市内で2022年10月に発生した女子中学生ロラさん(12歳)殺害事件の裁判で、ダビア・ベンキレド被告人(27歳)に終身刑を言い渡した。仮出所請求が可能になるのが30年後という、フランスでは最も厳しい有罪判決が言い渡された。この刑が言い渡されたのは、現行制度の下では7回目で、テロ事件の場合が多く、女性に言い渡されるのはこれが初めてとなった。
この事件で、被告人は、ロラさんの自宅前でロラさんを拉致し、強姦を含む暴行を加えて窒息死させ、刃物でさらに傷づけた上で、スーツケースに遺体を収めて放置した。被告人はアルジェリア出身の不法滞在者で、この事件を、フランス人を狙った外国人による殺戮だと喧伝し、政府の移民政策を攻撃する材料とする勢力もあった。 裁判において、ベンキレド被告人の弁護団は、被告人が交際中だった男性から性的・精神的に攻撃を受けていたことを挙げて、それが犯行の引き金になったと説明した。つまり、被害者がなんの理由もなく選定され、ただ弱者を標的にした犯行であったことは、弁護団としても否定すべくもない事実だった。裁判所は、犯行の残虐性を重く見て、被告人による再犯のリスクが極めて高いことを理由に、最大限の収監を継続可能な最高刑を言い渡すことを決めた。