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クリテオ、本社を米国に移転へ

仏クリテオ(アドテック)は10月29日、本社をフランスからルクセンブルクに移転すると発表した。同社は米国への移転を計画しているが、フランスからの直接の移転は制度上の困難があり、移転がより容易なルクセンブルクに本社機能を一時的に移す。米国への移転完了は2026年7-9月期を予定する。

クリテオは2013年以来、米株式市場の上場企業で、以前から営業面では米国の比重が大きい。本社を米国に移転すれば、株価指数入りの制限がなくなり、パッシブ運用の投資を呼び込む道が開けることが期待できる。CEOは2019年以降は米国人で、トップマネジメントは既に米国に本拠を置いている。

クリテオは2005年に発足。サードパーティーのクッキーを利用したリターゲティング広告の技術開発で成功を収め、一時は評価額が34億ドルまで上昇した(2017年)。その後は、IT大手のクッキーポリシーの修正が仇となり、事業展開が困難になった。現在はリテールメディアなど広告技術事業の多角化を進めているが、かつての勢いはない。同社は、世界に3500人を雇用するが、うち25%はフランスに集中。主に研究開発部門をフランスに置いている。同社は、人材確保の点でフランスの立地は優れているとして、米国への移転後もフランス拠点の縮小は考えていないと説明している。ただ、技術系の企業が本社を米国に移転することは、フランスの誘致力の欠陥を示す象徴的な事例になるとみる向きもある。

KSM News and Research