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ワールドライン、5億ユーロの増資を予告

仏ワールドライン(決済サービス)は11月6日、立て直しを期して2027-30年を対象とする戦略プラン「ノーススター2030」を発表した。その枠で5億ユーロの増資を行うと予告した。市場の懸念は拭えず、同社株価は同日終値で9.25%の下落を記録した。

増資計画では、5億ユーロのうち、1億1000万ユーロを主要株主の一部が引き受けることを約束した。増資の実施後で、BPIフランス(公的投資銀行)の出資率が9.6%まで上昇。このほかの出資率は、仏クレディアグリコル銀行が9.5%、BNPパリバが7.9%などとなる。半面、SIXグループ(スイス証取)は増資を引き受けず、派遣していた取締役1名を年内に引き揚げる。引き続き株主にはとどまるが、ワールドラインに係り2025年中に5億5000万スイスフラン(5億9000万ユーロ)の減損処理を行うことを明らかにした。

公的金融機関BPIフランスと、フランスの民間の大手銀行による出資率引き上げは、決済サービスを国家主権と位置付けてその防衛を図る意志を打ち出したものとして注目されている。ワールドラインは、戦略プランにおいて、期間中に平均で4%程度の年間増収率を達成し、2030年時点で2億1000万ユーロ程度の節減効果をあげて10億ユーロ程度のEBITDAを実現することを目標に設定。欧州における決済サービスへの事業の集約化を進めて、北米事業を近く売却すると共に、「エレクトロニック・データ・マネジメント」事業はSIXグループに2026年6月末までに売却する。ワールドラインを巡っては、ドイツにおけるコンプラ問題が新たに浮上しており、問題顧客の洗い出しと排除が引き続き課題となっている。

KSM News and Research