ウクライナのゼレンスキー大統領は11月17日にフランスを訪問した。マクロン仏大統領と共に、ラファール戦闘機100機を含む大型の兵器調達に関する趣意書に調印した。
調達される兵器には、ラファール戦闘機100機(ゼレンスキー大統領によるとF4バージョン)に加えて、仏タレス社製のレーダー、8基のミサイル防空システムSAMP/T(タレスとMBDAの合弁Eurosam社製)、サフラン社製のAASM Hammer(通常爆弾をミサイル化する誘導装置)、各種ドローンが含まれる。総額規模は明示されていないが、すべてが調達されれば200億ユーロ近くになると推定される。
マクロン大統領はこの趣意書について、ウクライナ和平が実現後の防衛力確保をにらんだものだと説明。2026-35年の10年間の期間を対象に順次配備を進めると説明した。年内に細部を詰める予定とされているが、合意はまだ趣意書の段階で、ファイナンスも固まっていない。マクロン大統領は、フランスが国防計画の枠内で資金協力を行う可能性を示唆してはいるが、これは少額にとどまり、欧州連合(EU)の枠内で協議中の財源が鍵になると考えられる。 ウクライナの戦闘機隊は専らロシア製戦闘機により構成されており、ラファールの大量調達には西側に大きく舵を切る象徴的な意味がある。なお、ゼレンスキー大統領はこれより前に、スウェーデン政府とグリペン戦闘機100-150機(サーブ社製)の調達に向けた趣意書にも調印している。ウクライナ規模の国には、250機の戦闘機隊が適正規模であるという。また、ウクライナにとっては、足元のロシア軍による攻撃に対処するため、ドローンとミサイル防空システムを必要としており、これらが早期の配備の対象となる可能性もある。