仏小売大手オーシャン・リテールはこのほど、仏同業ムスクテール・グループとの間で提携契約を結んだと発表した。オーシャン・リテール傘下のオーシャン名義の食品小売中型店舗(スーパーマーケット)の国内294店舗を、所有権を維持したままムスクテールの商号(アンテルマルシェ又はネット)に挿げ替えるという思い切った契約を締結する。
294店のうち、33店はフランチャイズ契約下で運営されており、残りは直営店。オーシャンは、ムスクテールのフランチャイジーとなり、294店舗をすべてアンテルマルシェ等の商号で運営する。2026年末までに切り替えを終える。オーシャンは価格競争で出遅れており、足元で赤字が膨らんでいるため、アンテルマルシェの下で価格を引き下げて集客力を高めててこ入れを図る。現在、294店舗の年商は33億ユーロだが、将来的にこれを35億-36億ユーロまで引き上げることを目指す。
オーシャンは仏食品小売部門でシェア8.4%の第6位。このままでは巻き返しは難しいという読みから、より規模の大きいムスクテールに合流することを決めた。オーシャンは資産家のミュリエ一族傘下だが、一族はオーシャン・リテールへの6億ユーロの資本注入に応じ、これを材料に同社は12億ユーロの銀行融資を確保した。合計18億ユーロの軍資金による巻き返し策の主軸が今回の契約となる。
ムスクテールの側では、懐を傷めずに経営規模を大きく拡大する好機となる。合流するオーシャン店舗は2ポイント分のシェアをもたらす見込みで、現在の17.6%のシェアが目標である20%に肉薄する。最大手ルクレール(24.4%)と2番手カルフール(21.2%)との差が縮まる。