マクロン大統領は12月1日、ウクライナのゼレンスキー大統領を大統領府に迎えて会談した。和平協議が重要局面を迎える中で、ウクライナは欧州諸国の支持を確保して国益を防衛する目的で訪問、マクロン大統領もウクライナへの支援と連帯の念を表明した。
両者の直接会談に加えて、英独首相との協議、欧州諸国(デンマーク、ポーランド、イタリア、ノルウェー、オランダ)の首脳及び欧州理事会のコスタ議長、欧州委員会のフォンデアライエン委員長、北大西洋条約機構(NATO)のルッテ事務総長を交えた会談がビデオ方式で行われた。ウクライナは米国との間で和平案の協議を進めており、12月2日にはトランプ米大統領のウィトコフ特使がモスクワでプーチン大統領と直接に会談することになっている。米国のルービオ国務長官は11月30日の時点で、ウクライナの主権と国土の全体性を尊重する考えを表明してはいたが、ロシア贔屓のウィトコフ特使がどのような和平案をロシアに持ち込むことになるのかは明らかではなく、ウクライナ側としては、重要な米ロ会談を前に、欧州諸国の後ろ盾を得て足場を固める必要があった。汚職問題で片腕のイェルマーク大統領府長官を解任した直後でもあり、欧州諸国に積極的な支援を維持する姿勢を示してもらうことも重要だった。戦況はウクライナにとって不利で、ロシアは実効支配の地域をじわじわと広げており、ウクライナ側は特に、米国政府がロシア併合地域に国際的な認知を与えることを警戒している。トランプ米政権の側には、早くロシアを付き合うことができる国にして、レアアース関係の協力プロジェクトを推進したいという思惑もあるらしい。