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マクロン大統領の「報道機関ラベル」論争、右翼系メディアが批判キャンペーンを展開

マクロン大統領の持論である報道機関のラベル制度導入を巡り、ボロレ・グループ傘下の右翼系メディアが熱心にネガティブキャンペーンを展開している。大統領が報道の統制を図っていると脅威論を焚き付け、これに極右政党RNと、保守勢力の一部が合流してマクロン大統領の批判を展開している。

倫理規定に基づいて公正な報道を心がける報道機関と、報道を装ったインタネット上のアクターなどを区別すべきだとする主張は、マクロン大統領が就任直後の2018年より一貫して展開しているものだが、具体的な施策の実現は遅れている。独立系のNGOによるラベル認定制度の普及を後押しするというのが大統領の提案の趣旨だが、ニュース専門テレビ局CNewsや日曜紙JDDなど、ボロレ・グループ傘下のメディアは、これを、気に入らない報道を排除してストーリーを押し付ける上からの統制だと報じて大統領を攻撃。大統領府が12月1日にSNS上で反論を公表し、これに極右系の勢力がさらに応酬するという騒がしい展開になっている。マクロン大統領はこれまで、ボロレ・グループ系のメディアに対してはむしろ友好的にふるまい、閣僚らにボロレ系メディアの取材に応じないよう指示するといった対策はとっていなかった。CNewsなどで鳴らしているパスカル・プロ氏には、2024年6月の解散総選挙の決定を、当時のアタル首相より先に伝えたほどの近しい関係だったというが、現在はすっかり険悪な様相を呈している。今回のキャンペーンはボロレ・グループとプロ氏らが、世論を抱き込む勝負にはもう勝ったとみて、自信を強めていることの証かもしれない。

KSM News and Research