仏Gerpisa(自動車産業研究会)が公表した最新の報告書によると、2025年に欧州連合(EU)の対中国自動車貿易は初めて赤字になる見通し。同貿易は2022年には150億ユーロの黒字を記録していた。
収支逆転の理由はいくつかある。まず、中国から輸入される自動車は中国メーカーのものばかりではなく、独BMWの 「MINI」、独フォルクスワーゲンの「Cupra」、米テスラの「Model 3」なども含まれる。収支悪化は欧米自動車メーカーが中国生産で低コストを追求したことの結果でもある。
自動車部品についても同様の傾向がみられる。2021年以来で中国からの輸入は67%増加した。2014年にはほぼ均衡だった部品の貿易収支は、2024年には34億ユーロの赤字に陥った。EUと中国とのコスト差は30-35%に上っており、メーカーが部品の調達先を中国に移さざるを得ない状況がある。とはいえ、世界全体では欧州の部品メーカーは競争力を保っており、自動車部品の中国以外との貿易黒字は過去10年間でむしろ拡大している。 中国メーカーの欧州進出も業界の懸念材料となっている。Gerpisaでは、少なくとも13件の工場建設計画を把握している(うち7件が確定案件)。中国メーカーは2030年には欧州で110万台を生産する計画で、これは欧州市場の10%に相当する。これらの工場は当然に中国からの仕入れを優先し、現地調達率が30%を超えるとは考えられない。自動車部品業界は現在、生産の3分の1から半分程度が中国へ移転される恐れがあると予測している。