仏ベンチャー企業ラ・パティスリー・ニュメリックはパティスリー用の3Dプリンタを開発した。業者による採用が始まっている。
同社はウール県ルービエ市に本社を置く。粉末焼結積層造形技術に着想を得た食品用3Dプリンタを開発した。小麦由来などの粉末を大型容器に入れ、そこに結合剤となるペーストを精密に注入してゆき、成型を行う。燒結過程は手持ちのオーブンで行う。1回のオペレーションで、小さなタルト台などのパーツを多数、製造することができる。ソフトウェアで統御され、手作業では不可能な細かく細密な造形を行うことができ、クリエーションの幅が広がる。
ピエール・エルメも試験導入した「パティス3(Patiss 3)」は3万ユーロ程度の価格で、プリセットで250のフォルムをそのまま作れる。ソフトウェアによる新作のデザインも可能。タルト台など単純なパーツなら1時間につき180個、複雑なものだと70個を製造できる。
同社は、材料の粉末の供給を収入の柱とするビジネスモデルを採用。小麦系(グルテンフリーも含む)やカカオ粉末に加えて、プラリネ、ココナツ、マジパンなどを揃えた。これまでに40台程度の採用を得ており、2026年には販売2倍増を見込む。生産体制の強化にも着手する。それと並行して、自社技術を食品メーカーにも売り込む計画で、ジャック・ブロサール(ベーカリー)など数社と協力を進めている。食品ロスを最小化する目的で、割れた焼き菓子などを回収し、粉末化して再加工する工程を追加するといった利用法が検討されている。