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靴を脱ぐのは絶対イヤの人々

鈴木孝夫の好著「日本語と外国語」(岩波新書、1990年)では、土足厳禁の日本とは違って、西洋の外国人の多くにとって足はある種の恥部であって、人前で靴を脱ぐことには強い抵抗があるという趣旨の議論が展開されていた。これを読んで、それで洋物のビデオでは女優さんが靴を履いたまま事に及んでいるのだなと感心していた人がいた。だがそれは違うよテツヤくん。ハイヒールというものはそれ自体、示唆的な形状をしているから、履いたままというのは視覚上の演出効果を狙ったものだろう。それに何より、足が恥部だというなら、コンテンツの性質からして、脱いだ方がよりはかどるのではないかね。

最近では世の中もだいぶん変わった。私なども人を招くときは靴を脱いでもらうけれど、私の家に来るような人であるからか、面白がって応じてくれる。保守系日刊紙ルフィガロも、フランス人でも家の中では靴を脱いで生活している人が増えており、訪問時に靴を脱ぐよう求められることが往々にしてあると報じている。同紙は同時に、「絶対に嫌」と感じる人々の証言も紹介。「スーツを着てきたのに足先までストッキング丸出しとか恥ずかしい。夫なんて靴下がちぐはぐだったのよ」(リヨン市在住のシャルロットさん)など、靴を脱ぐのが羞恥プレイという人はまだかなりいるらしい。リモートワークの普及も手伝い、若い世代を中心に靴を脱ぐ文化は広がりつつあるが、「スリッパを履くとかだらしない。私は病気の時でも履かない。汚いスリッパは衛生上悪い」(マルセイユに住むカトリーヌさん、58歳)など、抵抗派もまだまだ多い。文化の伝統というのは根強いものだ。

KSM News and Research