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アルセロールミタル、電磁鋼板の新生産ラインを完成

鉄鋼大手アルセロールミタルは12月2日、北仏ダンケルクの近郊マルディク工場で新生産ラインを開所した。報道陣を招いて施設を披露した。

マルディク工場は2005年まで梱包材を生産していたが、その後は操業を停止していた。アルセロールミタルはここに、電磁鋼板の生産ラインを導入することを決め、これまでに5億ユーロを投資した。このほど、予定される5本の生産ラインのうち3本が完成した。3本は数週間中に生産を開始する。5本の生産ラインがすべて出揃う2027年以降には、年間生産能力が15万5000トンとなり、ロゼール県内の工場における生産分ともあわせて、電磁鋼板は年間29万5000トンの生産能力が達成される。なお、アルセロールミタルは最終的にマルディク工場に6億ユーロを投資することになる見込みで、これは当初予定の3億ユーロを大きく上回る。投資のうち2500万ユーロは仏政府による公的投資計画「フランス2030」の枠内で拠出された。

電磁鋼板は鉄心材料として用いられ、EVのモーターや風力発電機、産業用などの用途がある。アルセロールミタルは仏国内で人員削減計画を進めていることもあり、国会では野党勢力により国有化法案も提出されるなど、論争の対象となっている。同社は新生産ラインの稼働開始について、電磁鋼板でも外国製品の競合にさらされており、現在は40%程度が輸入になっていると指摘。輸入比率を15%にまで引き下げるための関税割当導入を欧州連合(EU)は決定しているが、アルセロールミタルはこれを2026年年頭から適用することが重要だとして、迅速な施行を呼びかけている。新生産ラインの製品は品質チェックを経て、産業部門向けの顧客企業から供給を開始。次いで自動車部門向けの供給を開始する。同社は自動車部門ではルノー、ステランティス、BMWなどに供給実績がある。

KSM News and Research