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コロナ危機:当時の閣僚ら3人、全員の不起訴が決定

新型コロナウイルス危機への対応を巡り、当時の閣僚らの責任を追及する提訴がなされていた件で、事件を担当する共和国法廷(CJR)の予審判事団は7月7日、不起訴処分を決定したことを明らかにした。事件当時のフィリップ首相とビュザン保健相及びその後任のベラン保健相の3人がいずれも不起訴となった。

共和国法廷は、閣僚が職務遂行の過程で犯した犯罪を裁く特別法廷。3人の閣僚は一連の提訴の対象となり、共和国法廷はこれら閣僚らの責任の有無を調べる捜査を行っていた。検察は不起訴を請求しており、予審判事団の不起訴決定も予想通りだった。3人のうち、フィリップ元首相は大統領選挙への出馬を目指しており、ここで不起訴の決定を得られたのは大きい。

予審判事団は、3人の閣僚について、刑事責任を追及するに足る要素はなかったとの判断を示したが、同時に、調査の過程で、政府と当局機関において、数多くの誤りや逸脱、機能不全が見受けられたと指摘。特に、国内で3万2000人が死亡した危機の最初の6ヵ月間(2020年1月から7月にかけて)とそれより前の期間について、マスク不足が再三にわたり報告されていたのに無策であったことや、2020年3月に統一市町村選挙の第1回投票の実施が選択されたことなどを指摘。当局の発表にも事実と異なる点があったなど、政府に非があったことが明示された。

閣僚らの不起訴処分を経て、今後は、行政機関の関係者らの責任を問う刑事捜査が本格化する。今のところ容疑者認定はなされていないが、今回の不起訴決定の報告書において集められた関連文書は今後の捜査においても利用される。フランスでは新型コロナウイルス感染症により17万人が死亡している。

KSM News and Research