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若い世代に不公平感が浸透、「ブーマー世代」への不満が拡大

若い世代がいわゆる「ブーマー」世代に関する不満を募らせている状況を踏まえて、戦略・企画高等機関はこのほど、「かつての若者と今の若者 大きな階層低下があるのか」と題する調査結果を公表した。

年金生活者の豊かな暮らしを支えるため、30代の就業者が犠牲にされ、搾取されているとする考え方があるが、報告は、そうした感じ方の背後には一定の現実があると認め、具体的な数字によりそうした現実を跡付けている。まず、社会給付等を合算した実質所得の水準をみると、30-34歳の層の所得水準は、50-54歳と比べて13%低いが、この差は、1979年時点では9%だった。以前と比べて現在の若い世代の学歴は全体として向上しているのに、低資格雇用が全体に占める割合の低下はわずかで、これは、学歴に見合った職につけていない人が多いことを示唆している。

社会保障会計の財源への貢献をみると、30-34歳の層では、収入の38%がこの負担となっているが(2019年数値)、これは1979年の32%と比べて上昇している。ただし、60-79歳の層でも、この割合は12%から27%へと上昇しており、分担の仕組みはそれなりに機能している。定年年齢の引き上げや、CSG(社会保障会計の財源となる目的税)の改正(2018年)の効果が指摘される。ただし、現行法令が改正されないと仮定した場合で将来予測を行うと、2070年時点で、現在の30代の人の生活水準は国民平均の87%まで低下する(現在は国民平均並み)ことになる。年金制度の存続性を疑う人の割合も増えているが、足元で論争の対象となっている年金改革は、若い世代に有利な施策たりうるという解釈も可能であることを報告は示唆している。

このほか、若い世代は、持ち家を得られないという不満も募らせている。その背景には、相続平均年齢が、1980年代初頭の43歳から、2020年には52歳まで上昇したこともあるが、資金の面で購入の条件が厳しくなっていることも大きい、報告は、住宅面などで若い就業者を念頭に置いた政策を推進する必要があると提言している。

KSM News and Research