ルコルニュ首相は9月17日に政治勢力の代表との協議を続けた。下院で過半数を持たない首相が、不信任投票で退陣に追い込まれることなく予算法案を採択させる道を見出すべく感触を探る機会になった。
17日には、極右政党RN、環境政党EELV、そして社会党の代表らとの協議が行われた。極右RNを率いるマリーヌ・ルペン下院議員団団長は、数日前に開いた党の集会の時と同様、ルコルニュ首相による政府の存続の可能性について否定的な見解を示し、首相が言うように、本当に態度を改める気があるのかどうか、具体的な提案の内容を見て内閣不信任の是非を決めると言明した。環境政党EELVもやはり厳しい判断を示した。首相による説得の本命となる社会党では、フォール第一書記が、具体的な方針が協議の際には一切示されなかったと不満を表明。予算法案の具体的な内容によっては不信任を決めると述べて、首相への圧力を行使する考えを示した。第一書記は、移民政策の点でも、首相が右寄りに舵を切ればやはり不信任に舵を切る考えを表明した。
社会党は予算対案を公表しているが、世論調査によれば、国民の多くがこれに賛同している。富裕層の資産課税(いわゆるズックマン税)の導入には86%の国民が賛意を表明。定年年齢の段階的引き上げの中断にも66%が賛成している。ズックマン税については、経営者団体が強い反対の念を表明。政府に協力している共和党(保守)もそのままの内容(1億ユーロを超える資産について2%を課税)なら受け入れないと考えられ、調整は難しい。ただ、社会党に土産を持たせないと協力を取り付けるのは無理で、富裕層の課税強化の代案が見つかれば落としどころになる。ルコルニュ首相本人も、職業上の資産については課税対象とはしないと言明しており、妥協点を探る動きが最大の焦点になる。