仏セルビエ(製薬)は7月30日、後発医薬品子会社のビオガランの売却に向けて、英投資ファンドのBCパートナーズと独占交渉を開始したと発表した。
セルビエは昨年にもビオガランの売却を計画。この時は、BCパートナーズのほかにインドの2社が買収に名乗りを上げた。フランス政府は、重要部門の企業が外国企業、特にインド企業の手中に落ちるのを警戒して圧力を行使。セルビエはそのため、売却計画を白紙に戻していた。今回、BCパートナーズが再び働きかけて、セルビエが売却交渉に応じることを決めた。
仏政府の了解を得る目的で、BCパートナーズは今回も、BPIフランス(公的投資銀行)とタッグを組んで買収提案を行うという。提示額は8億-10億ユーロ程度と、昨年よりも控え目な額で交渉し、雇用面での保証や欧州事業展開の支援などを約束するという。バイオシミラーなど安価な製品のポートフォリオを拡大し、後発医薬品で医療支出を抑えることを目指す健保公庫とも利益を共有する姿勢を強調。ビオガランは国内の40社程度の下請け会社を通じて製造の半分を国内で行っているが、社内の雇用維持(従業員数250人)に加えて、下請け契約の維持も約束する。
大衆薬事業を切り離して付加価値の高い新薬開発に注力するのは各社共通の動きで、大手サノフィも大衆薬部門Opellaの部分的売却を決めた。セルビエはビオガランの売却を経て、主力に据えるがんや神経疾患の治療薬の開発を加速する計画。ビオガランは年商9億ユーロ。年間3億2000万箱を国内で販売し、国内消費の8分の1を担い、後発医薬品では国内最大のブランドとなっている。