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FinX、海洋生物に倣った推進原理の船外機を発売へ

仏ベンチャー企業FinXは、海洋生物と同じ推進原理を用いた船外機を開発した。近く販売を開始する。
FinXが開発した「Fin5」は、バッテリーで稼働する船外機で、出力は2kW(5馬力に相当)。プロペラはなく、代わりに円筒形の装置がついている。この円筒の端についた膜状の輪が振動し、水を取り込んでは送り出す形で動作し、推進力を得る。クラゲのような海洋生物の動きを模した新しい発想に基づいて開発された。電動ともあわせて低騒音を実現し、また、海洋生物に対するダメージが小さいという環境配慮も売り物とする。航続距離は2.7ノット(時速5km)の航行で8時間、6ノット(時速10km)の最大速力では1時間。予約受付を開始済みで、価格は3200ユーロと、エンジン船外機の同等品と比べて2倍高いが、FinX社の創業者・社長のギユマン氏は、エンジンは機械部品の交換や燃料消費があり、運用コストも含めると価格差は縮まると説明している。
同社は2022年10月に600万ユーロを調達。Fin5の製造は同じノルマンディ地域圏の中小企業Calip(カーン市近郊)に委託した。2023年に800機を製造し、2025年には5000機のペースに引き上げることを目指す。作業船や河川航行の客船向けなどに、より大型の「Fin150」(110kW)も開発中で、自動車大手ルノーと受託製造に向けた交渉を進めている。成長を期して2000万ユーロの資金調達も計画している。

KSM News and Research