フランス情報メディアのET TOI(エトワ)

フランスと日本をつなぐ

1€=

新規登録

ネオライン、帆走貨物船の発注を決定

帆走貨物船を開発する仏ネオライン・デブロップマン社はこのほど、初号船の建造を決定したと発表した。6000万ユーロのファイナンスを確保し、トルコのRMKマリンに建造を発注した。9月に建造が開始される予定。
ネオラインは帆走を取り入れたハイブリッド船舶を開発。設計は仏Mauricが手掛けた。建造されるのはローロー船で、コンテナ265体(5300トン)を輸送できる。2本のマストと固定セイルにより構成される推進装置「SolidSail」は、仏サンナゼールのアトランティック造船所で作製される。高さは76メートルで、73度まで傾けることが可能で、橋梁の下も通過できる。グラスファイバー製の帆はアコーデオンのように展開が可能で、最大で3000平方メートルの面積となる。速力は11ノットで、低硫黄の舶用軽油(MGO)で稼働する補助エンジンを備える。二酸化炭素排出量は8割を削減できる。セイルを含めた仏国内生産の部品が全体のコストの3割程度を占めるという。
新造船は、仏サンナゼールとカナダの大西洋岸に位置する仏海外領土サンピエールミクロン、カナダのハリファックスと米ボルチモアを結ぶ定期航路で就航する予定で、既に、ルノー(自動車)、ベネトゥ(レジャーボート)、マニトウ(電動カート)、ミシュラン(タイヤ)から契約を得ている。ロンシャン(ブランド品)、クラランス(化粧品)、レミ―コアントロー(酒造)など数社との契約も近く結ばれる予定。フランスから北米向けの船腹量は80%が既に埋まっているが、北米からフランス向けが20%にとどまっており、今後に契約を確保する必要がある。
ファイナンス面では、海運大手のCMA CGMが協力に応じたことが決め手となった。仏ADEME(環境・省エネ庁)傘下の投資ファンド、コルシカ・フェリーズなども出資した。公的銀行のバンクデテリトワールは社債を引き受け、380万ユーロを注入した。

KSM News and Research