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欧州議会、通信衛星コンステレーションの整備計画を承認

欧州議会は14日、通信衛星コンステレーション「Iris2」を整備する計画を承認した。プロジェクト募集の開始に向けた条件が揃った。
欧州連合(EU)が整備したコンステレーションとしては、地球観測のコペルニクスと測位システムのガリレオがある。ウクライナにおいては、イーロン・マスク氏の「スターリンク」が軍用に用いられて成果を挙げたという経緯があるが、スターリンクが容量制限を計画するなどして、今後の利用が危ぶまれている。この一件で、欧州における国家主権通信サービスの確保の重要性が痛感されるに至り、今回の欧州議会における計画案の承認につながった。
整備される「Iris2」は、民生用と軍・政府用のデュアルユースとなり、軍用や政府用の通信確保と、救難信号の取り扱いや災害時の通信確保、過疎地における高速インターネットのカバー等の用途に用いられる。プロジェクト募集においては、欧州企業にのみ応募を制限し、衛星運営大手や宇宙機製造大手のコンソーシアムに参加を求める。ベンチャー企業や中小企業の参加も条件として求める。欧州議会は環境配慮も基準として追加した。
欧州委員会は2027年までに24億ユーロの予算を既に準備している。欧州宇宙機関(ESA)も向こう3年間で6億4200万ユーロの拠出を約束した。民生用の用途に対応して民間資本にも負担も求める。欧州議会は2024年末までの初打ち上げを期待。2027年の商用サービス開始を目指し、全体の投資額は60億ユーロ程度に上るとみられている。

KSM News and Research