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黒トリュフ、今年は不作

黒トリュフの収穫・取引期間がほぼ終了した。気候変動の影響で例年より1ヵ月早く終了した。今年は不作で、卸売価格も大きく上昇したが、品質は低かった。
黒トリュフは南仏で生産される。黒トリュフはトリュフ類の中で唯一、栽培が可能で、フランスはかつて主要な生産地だったが、現在ではスペインとイタリアに大きく差をつけられており、トップ5にも入っていない。平年の年間生産量は50トン程度、売上高は2500万ユーロ程度となっているが、この収穫期では、生育が始まる春季の少雨などにたたられて、ほとんどの産地で生産量が半減した。最大の産地はボークリューズ県で、生産量の70%が集中している。今期の卸売価格は、ボークリューズ県のリシュランシュで1kg当たり最大で1300ユーロ、トゥールーズ市では2000ユーロ近くにまで跳ね上がった。
トリュフを栽培するには、1ヘクタール当たりで1万ユーロの初期投資(地代含まず)が必要で、8-10年間は収穫なしに保守作業が必要と、早期のリターンは望めない。フランスでは、栽培者の数は減る一方(1980年代から半減の7500程度)で、事業の規模も小さく、秘密主義も成長を妨げている。その一方で、温暖化によりトリュフ栽培の北上が可能になっており、サルト県などで、新規参入に成功し、付加価値向上を実現した農業経営体の事例も見られるようになっている。

KSM News and Research