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モバイル・ワールド・コングレスで目立った斬新な技術やプロジェクト

バルセロナで開催されているモバイル・ワールド・コングレス(通信業界イベント)では、様々な新製品が展示されている。目立った幾つかの斬新な技術やプロジェクトを紹介する:
◆月面4G:フィンランド通信機器ノキアは、月面で4Gを展開するというプロジェクトについての作業を進めている。成功すれば、宇宙空間では初のモバイル・ネットワークとなる。2020年に発表されたこのプロジェクトの予算は1400万ドルで、米航空宇宙局(NASA)のイニシアティブ「Tipping Point」の一環。「Tipping Point」は、2022年に開始しており、予算は2億ドル。具体的には、ノキアは、地球上のものより小型でエネルギー消費の小さい4G基地局を、米インテュイティブ・マシーンズ(航空宇宙)の月面着陸機に設置する。この機器が、ソーラー・パネルを備えた別の月面ローバ(探査車)上のアンテナと4Gで通信する。プロジェクトは、2022年末に実現するはずだったが、2023年末までに延期された。このプロジェクトにより、月面に送られる宇宙飛行士達に、地上と同じモバイル通信環境が提供されると期待されている。
◆5Gで操縦可能な小米科技(Xiaomi)のロボット犬:仏通信オレンジは、中国の小米科技製の5G装置で操縦可能なロボット犬を展示している。ロボット犬には小型5Gルーターが搭載されており、操縦者は、米マイクロソフトの複合現実ヘッドセットHoloLens2で、ロボットを操作する。HoloLens2上には、ロボットとその周囲の環境がデジタル・バージョンで表示されており、操縦者は、手を空中で動かすだけで、ロボットを操縦できる。ロボットは、例えば、ビデオを撮ったり、モノを動かすことにより、工場内をチェックするなど、反復的な作業や人間にとって危険な作業を担当できる。
◆誰でも5分で部品交換が可能なスマホ:ノキア・ブランドの携帯端末のライセンスを持つHMD社は、ドライバー1本で誰でもが5分で部品を交換できるスマホ「G22」を展示している。既に販売されている「G22」は、簡単にディスプレイやバッテリー、充電ポートの交換ができるようになっている。米アップルの「セルフサービス修理プログラム」とは異なり、HMDは、スマホの内部構造に興味を持つギークだけでなく、一般ユーザーを対象としており、端末を分解した際に問題が発生した場合でも、3年間の保証期間は維持される。仏レゼコー紙が試したところ、分解・再組み立ては簡単だったという。HMDでは、ユーザーに部品交換が簡単だと納得させるため、交換可能な部品数を意図的に制限した。また、部品のオンライン販売に当たっては、米アイフィクスイット(IFixit、電子機器修理情報・パーツ提供)と提携した。

KSM News and Research