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垂直方向の建て増し、土地不足で脚光浴びる

リヨン都市圏は23日、建物を高くする形での増築により、低家賃住宅250-300戸を向こう2年間で整備すると予告した。土地不足の中で住宅を増やす手段として取り組む。平屋の商業施設に7階を追加し、24戸を整備する(ビルルバンヌ市)プロジェクトや、リヨン市市内の19世紀に建築の建物に2階を追加するプロジェクトなど、規模や状況が様々に異なるプロジェクトが進められる。公団組織のみが対象だが、将来的に、民間部門の開発業者の参入を呼び込む展望もある。
フランスでは、人工的な土地利用のネットゼロ達成を大目標として、土地の新たな人工化を2030年までに50%減らすという目標が設定されている。そのため、農地等を宅地化することが難しくなり、土地の確保が課題として浮上している。既存の建物に階を追加する形で増築を行うことが解決法の一つとして注目されており、地方自治体による取り組みも増えている。ストラスブール都市圏では、UpFactor社に依頼して、垂直方向に建て増しが可能な建物1万6500棟を特定した。その結果を公表し、民間部門を含めて増築への取り組みを促す計画。断熱リフォームとも絡めて、不動産開発業者が増築分の所有権を確保することを条件に、リフォームの費用を負担するといったビジネスモデルが想定されている。政府機関は去る2月にこうした増築に関するガイドラインを公表。増築権の譲渡は非課税で行える点などを説明している。ただ、住民が居住している状態での施工には開発業者が消極的であるなど、実現においてはハードルも多い。

KSM News and Research