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航空燃料のグリーン化:欧州議会とEU理事会が合意

欧州議会と欧州連合(EU)理事会は、航空燃料の温室効果ガス排出量削減に関する法案に合意した。欧州議会、EU理事会での正式な採択を経て発効する。この法案は、EUが温室効果ガス排出量を2030年までに1990年比で55%を削減し、2050年に気候ニュートラルを達成するための政策パッケージ「Fit for 55」の一部で、内容は以下の通り。
▽EUの空港において航空燃料を供給する事業者に、再生可能代替航空燃料(SAF)を一定割合混合することを義務化する。2025年にこの割合を2%、2030年に6%と段階的に引き上げ、2050年に70%に引き上げる。SAFには、水素および二酸化炭素由来の合成燃料、再生可能水素に加え、廃プラスチックや、バイオマス、廃油由来の燃料などが含まれる。2050年の混合割合の目標として、欧州議会は85%、欧州委員会は63%を提案しており、今回の合意ではその中間となる70%が採用された。また、SAFに含まれる合成燃料の混合割合についても、2030-2031年に1.2%、2032-2034年に2%、2035年5%、2050年に35%という目標が設定された。再生可能エネルギーだけでなく、原子力発電由来の「低炭素合成燃料」もSAFに含められる。▽EU空港から出発する航空事業者が、一回のフライトに必要な燃料のみを給油することを義務付ける。コストの高いSAFの給油を避け、燃料費の安い国で往復分を給油する、いわゆる「タンカリング」を避ける。▽空港が、SAF供給のためのインフラを整備することを義務付ける。
なお航空部門からの温室効果ガス排出量は、EUの温室効果ガス排出量全体の4%程度を占めている。

KSM News and Research